【解決】リテーナーで喋りにくい!その原因と快適に過ごすための対策
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リテーナー装着時に喋りにくい原因として、「舌がリテーナーに触れてスムーズに動かない」「ワイヤーが唇に触れて痛い」などが考えられます。また人によっては「違和感や不快感」「サイズが合わない(変形した)」などの理由もあるでしょう。
喋りにくい状態がなかなか改善しないとストレスになる上、人前で話すことに苦手意識を感じるおそれもあるため早期解決したいところです。本記事の対処方法を参考に、ぜひ速やかなトラブル解消につなげてください。
この記事の監修医師

安藤 雄基 歯科医師
- 監修
愛知県名古屋市で歯科・小児歯科・矯正歯科・歯科口腔外科に加え、美容皮膚科の診療も行う「あんどう歯科・美容皮フ科」を2023年に開院。一般歯科・審美的な歯科治療、子どもの口腔機能に着目した小児矯正を得意としています。美容皮膚科と連携をとりながら、健康と美を求める患者さんのサポートを目指しています。
リテーナーで喋りにくい原因


リテーナーを装着中に喋りにくいのは、口腔内の感覚がそれまでと大きく変わることが影響しています。またはリテーナーそのものが合わなくなったり、変形したりといった可能性も。以下に挙げる具体例を自分に照らし合わせ、当てはまるか確認してみてください。
装置に慣れていない
矯正治療が終わり保定期間に入ったばかりの方は、リテーナーに慣れていないだけかもしれません。舌がリテーナーに触れてスムーズに動かせず、滑舌が悪くなることがあります。
特に、プラスチック部分が上顎を覆うプレートタイプのリテーナーは、舌の動きが阻害されやすくなります。歯の表面にワイヤーがついている場合、唇にも異物が当たるような感覚があり余計に喋りにくいと感じるでしょう。
1か月ほど過ぎても改善しない方や、仕事や趣味などに影響して困るという方は、リテーナーの種類を変えてもらえないか歯科医院に相談してみましょう。
装置が合わない
リテーナーを使いはじめて少し経った方や、長期間使っている方が「喋りづらくなった」と感じる場合、リテーナーが合わなくなったのかもしれません。装着時間を守らなかったなどの原因で歯が後戻り(歯列が変化)して、リテーナーが合わなくなることがあります。
また落としたり強い力を加えたり、高温にさらしたりした場合も変形して合わなくなることがあります。そのままでは正しく保定できないため、心当たりがある方はできるだけ早く歯科医院を受診し相談してください。
発音器官への影響
滑舌が悪くなったように感じる方や、思ったとおりの音(声)が出にくくなったという方は、舌や唇の動きがリテーナーによって阻害されている可能性があります。
プレートタイプのリテーナーは特に、上顎がプラスチックで覆われるためタ行・ナ行・ラ行の発音に影響することがあります。
またリテーナーやワイヤーに舌や唇が触れて痛みを感じたり、口腔内で音が共鳴するための空間が狭まったりした場合も、思ったとおりの音(声)が出せないことがあります。
心理的な影響
喋りにくさは、リテーナーの異物感や違和感などによる心理的ストレスが影響している可能性も考えられます。また一度気になると「喋りづらい」「違和感がある」と過剰に意識してしまい、うまく舌を動かせなくなったり、力みすぎたりしてしまうこともあります。
次回のメンテナンス時に相談するか、待てないときは早めに歯科医院を受診して相談しましょう。歯科医師の判断によりますが、リテーナーの種類を変更してくれるかもしれません。
以下の記事では、ワイヤー付きのリテーナーからマウスピースタイプのリテーナーまで、様々な種類およびその特徴を紹介しています。歯科医師に相談する際の参考にしてみてください。
喋りやすくなる具体的な対処法5選


一般的にリテーナーの装着感や喋りづらさは、1~3週間ほどで慣れるといわれています。1か月が過ぎても喋りづらいまま、とにかく早く克服したいという方は「発音練習などをしてとにかく慣れる」か、「歯科医師に相談して調整してもらう」かになるでしょう。それぞれ具体的に説明していくので、自分の症状(状態)に合いそうな方法を試してみてください。
発音練習をする
リテーナーを装着しているときの舌の動きに慣れるには、とにかく発音することが大切です。地道な練習になりますが、「音読をする」「歌をうたう」「動画で英会話を練習する」など、自分がやりやすい方法で発音を繰り返すのがおすすめです。
自分の声を録音して聞いてみると、どの音が苦手なのか、どう聞こえているのか、改善できているかなどがわかりやすいでしょう。
舌の位置を意識する
同じ「て」「な」「り」「た」などの音でも、リテーナーがあるとき・ないときで舌の位置が若干変わります。リテーナー装着時は、舌を「リテーナーがあるとき用」の位置に持っていくことも意識してみてください。
たとえばリテーナーを装着した状態で「て」だけを繰り返し発音しながら、しっくりくる舌の位置を探す方法があります。しっくりくる(スムーズに発音できる)位置が見つかったら、感覚的に動かせるまで繰り返し発音しましょう。
「口を開いて舌をできるだけ前に伸ばし、できるだけ奥に引っこめる」といったエクササイズをすると舌の動きが滑らかになるといわれています。舌がスムーズに動かない方は、最初にエクササイズをしてみるのもおすすめです。
リラックスする
リテーナーがあることで「喋りにくい」「うまく発音できない」と思い込んでしまうと、余計に「しっかり喋らなければ」「キレイに発音しなければ」と力んでしまうことがあります。喋りにくいのは、その力みが原因だったということもあります。
リラックスした状態を感覚的に掴む方法はいくつかありますが、以下のやり方が簡単です。
- 両肩に力を入れてグッと持ち上げる
- そのまま目と口をできるだけ大きく開く
- 息を吐きながら肩も顔もお腹も背中も一気に脱力する
- 脱力した表情筋・肩の状態を意識的に作れるよう何度か繰り返す
力んでしまう方は、無意識のうちに顔の筋肉や顔に力が入っているため、極端にいうと上記「1」「2」に近い状態になっています。意識して「3」の状態を作ることができれば、人前で喋るときなどにも応用が利くようになります。
装着時間を医師と相談する
仕事や日常生活に支障が出るほど喋りにくい方は、歯科医師に装着時間を短くできないか相談する方法もあります。根本的な解決策ではない上あくまで歯科医師の判断ですが、特定の時間や状況に限り、リテーナーの取り外し許可が得られるかもしれません。
ただし、絶対に自己判断で装着時間を短くしたり、たとえ一時的にでも勝手に取り外したりしてはいけません。リテーナーの装着時間を守らないと歯列が後戻りし、リテーナーの調整・作り直しや、矯正治療をやり直さなければならないなどのリスクが高まります。
リテーナーを調整してもらう
リテーナーが動く(フィット感が低下した)、1か月以上過ぎても喋りにくい、舌や唇の違和感が強いという方は、できるだけ早く歯科医院を受診しましょう。合わないまま使い続けると喋りにくいだけでなく、正しく保定できないため歯列が後戻りするリスクもあります。
簡単な調整で済むケースもありますが、リテーナーの変形や歯列の後戻りが原因だった場合は、リテーナーの作り直しもしくは矯正治療のやり直しといったことも考えられます。先延ばしにするほど悪化するおそれがあるため、できる限り速やかに受診することをおすすめします。
当てはまったら要注意!歯科医師に相談するべきサイン


リテーナー装着時の違和感や不具合のなかには、速やかに歯科医院を受診したほうがよいものもあります。特に、以下のような場合は放置すると矯正治療のやり直し、リテーナーの作り直しなどの要因にもなるため、「大丈夫だろう」と安易に自己判断をすることは控えましょう。
強い痛みが長期間続く場合
長期間にわたって強い痛みが続くときは、速やかに歯科医院を受診してください。具体的には、リテーナーによって「舌や唇、歯茎が痛い」「上顎や下顎が痛い」「頬や唇の裏などの粘膜が痛い」などという場合が挙げられます。
リテーナーが当たって口内炎や傷ができていたり、歯列が後戻りして合わなくなったりしているのかもしれません。複数の要因が重なっていることも考えられるため、詳しい検査と正しい診断が重要になります。
違和感や軽い痛み程度でも、同じ場所で長期間続くときは何らかの異常を疑い、歯科医院を受診することをおすすめします。
発音が極端に悪くなった場合
リテーナーを初めて装着する方は慣れていないだけかもしれないので、1か月くらいは様子を見てもよいでしょう(明らかに異変や痛みがあれば歯科医院を受診してください)。
それ以外の方で「いきなり、しかも極端に発音が悪くなった」と感じたときは、歯列の後戻りでリテーナーが合わなくなったか、リテーナーの変形などが考えられます。またはリテーナーの問題ではなく、舌や唇などに麻痺など何らかの異常が起こっている可能性も否定できません。
いずれにしても自己判断は危険なので、できるだけ早く歯科医院を受診して詳しい検査と診断を仰いでください。「いつ頃から」「どのように」なども伝えられると、速やかな原因究明に役立つでしょう。
リテーナーが壊れてしまった場合
破損したなど完全に壊れた場合はもちろんですが、「なんだか少し歪んだ気がする」という程度であっても、違和感があれば歯科医院を受診して調べてもらいましょう。
リテーナーは、矯正治療で整えた歯列が後戻りしないようにするための保定装置です。少しでも合わなくなると歯列が後戻りするおそれがあります。
喋りにくさや痛みが生じるだけでなく、せっかくお金と時間をかけた矯正治療がやり直しになってしまう場合もあるため、後回しにしないことが大切です。
まとめ


リテーナー装着時は舌の動きが阻害されるため、外したときと比べて滑舌が悪くなったり、思ったように発音できなかったりすることがあります。慣れることでスムーズに喋れるようになるはずですが、1か月以上経っても喋りづらい、痛い、合っていない気がするなど、気になることがあれば歯科医院を受診しましょう。
また、喋りづらさはなくとも「違和感や強い痛みが長期間続いている」「突然、しかも極端に発音が悪くなった」「リテーナーが壊れた」といった場合はすぐに歯科医院を受診しましょう。
矯正治療を受けた歯科医院を受診するのが基本ですが、診断を受けても解決しない場合などはセカンドオピニオンを検討する方法もあります。以下のリンク先には、全国のセカンドオピニオン対応の矯正歯科医院が掲載されています。エリアや駅で検索できるので、ぜひ活用してください。