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4番抜歯で顔はどう変わる?変化のパターンから後悔しないための対策まで徹底解説

4番抜歯で顔はどう変わる?変化のパターンから後悔しないための対策まで徹底解説 監修 坂本 輝雄 歯科医師の画像

4番抜歯とは、第一小臼歯(前から4番目の歯)を抜く矯正治療のひとつです。歯列にスペースを作り、歯並びや噛み合わせを整える目的で行いますが、抜歯によって歯が動くことで口元や輪郭といった顔の印象にも影響が出ることがあります。

「口元が出ているのが気になる」「4番抜歯で顔が変わるって本当?」「失敗したり後悔したりすることはない?」といった疑問や不安を持つ方も多いでしょう。

天然歯を抜いてしまうと元には戻せないため、「やっぱり抜かなければよかった」と後悔しないように慎重に検討することが大切です。この記事では4番抜歯による顔の変化や、後悔しないための対策について詳しく解説します。

この記事の監修医師

坂本 輝雄 歯科医師

坂本 輝雄 歯科医師

  • 監修

日本矯正歯科学会認定医・指導医・臨床指導医の資格を持ち、矯正歯科を専門領域としています。

東京歯科大学を卒業。東京歯科大学大学院歯学研究科(歯科矯正学専攻)を修了した後に、東京歯科大学歯科矯正学講座助手・慶応義塾大学医学部形成外科学教室非常勤講師・米国オクラホマ大学歯科矯正学講座 Visiting Assistant Professor・東京歯科大学歯科矯正学講座講師を経験いたしました。東京歯科大学退職後の現在は、東京歯科大学千葉歯科医療センター矯正歯科にて臨床准教授を務めています。

4番抜歯で起こりうる顔の変化パターン

4番抜歯で起こりうる顔の変化パターンの画像 4番抜歯で起こりうる顔の変化パターンの画像

4番抜歯は、矯正治療においてスペースを確保するために行われる処置で、いわゆる「抜歯矯正」の一つです。抜歯によって空いたスペースに歯が移動すると、それにともない骨・筋肉・皮膚の位置にも変化が生じます。結果として、顔に以下のような変化が起こる場合があります。

口元の変化
輪郭の変化
その他の変化(人中、笑顔の変化)

ただし、これらの変化は抜歯する本数やもともとの歯並びの状態、骨格などによっても大きく異なります。また変化の程度には個人差があるため、すべての方が同じように変化を実感するわけではありません。具体的にどう変わる可能性があるのかをまとめたので参考にしてください。

口元の変化

出っ歯や口ゴボ(※)といった方の場合、4番抜歯によって口元の突出感を改善できる可能性があります。歯を抜いたスペースに前歯を後方移動させることで口元が引っ込み、横顔のEライン(鼻先と顎先を結ぶライン)が整いやすくなるためです。人によっては顔全体のバランスが改善され、すっきりした印象を与えられることもあるでしょう。

また、歯の位置が変わることで唇の厚みや形に影響が出ることもあります。口元が引っ込むことで唇が薄く見える傾向にあるようです。

ただし変化の度合いは個人差があり、歯並びや骨格にも依存します。人によっては口元が引っ込みすぎてしまうリスクもあるため、事前のシミュレーションや歯科医師との綿密な相談が重要です。

※口ゴボ(くちごぼ)は、口を閉じた状態で横顔を見たときに、口元が盛り上がったような状態を指す言葉です。主に歯の前突が原因で起こります。

輪郭の変化

4番抜歯によって歯列全体のアーチが小さくなることで、頬のラインがすっきり見えるようになる方もいます。歯列がお口の内側に入り込むことで、頬を支えていた部分のボリュームが減少し突出が目立ちにくくなるためです。特に、もともと頬がふっくらしている方はこの変化を感じやすいかもしれません。

また、口元が引っ込むのと連動して顎の位置や形にわずかな変化が生じ、フェイスラインがシャープになる方もいるようです。こうした方は顔全体が引き締まった印象になる可能性があります。輪郭の変化は抜歯による直接的な影響だけでなく、口元の変化にともなう表情筋の使い方・姿勢の変化も影響していると考えられます。

ただし変化の程度は個人差が大きく、中には頬がこけて見えると感じる方もいます。治療計画の段階で希望する仕上がりをしっかり伝え、歯科医師と目標を共有することが大切です。

その他の変化

必ずしもネガティブな変化とは限りませんが、4番抜歯で口元が引っ込むと、相対的に鼻の下が長く見えることがあります。上唇の突出感が減ることで人中(鼻の下から上唇までの溝)が目立ちやすくなるためです。

一方、歯並びが整うことで笑顔がより美しく見えるようになる方もいます。歯並びが整うことで口角が上がりやすくなったり、笑ったときに歯が均一に見えたりするようになります。口元に自信が持てるようになった結果、表情が豊かになって自然で魅力的な笑顔になれる方もいるようです。

これらの変化もやはり個人差が大きいため、抜歯前に歯科医師と十分に相談し、不安や疑問を解消しておくことが安心につながるでしょう。

4番抜歯による顔の変化のメリット・デメリット

4番抜歯による顔の変化のメリット・デメリットの画像 リ4番抜歯による顔の変化のメリット・デメリットの画像

4番抜歯をともなう矯正治療は、顔の印象や機能面にさまざまな変化をもたらします。口元や輪郭の変化による審美的な改善、噛み合わせの改善といったメリットがある一方、治療期間の長期化や抜歯による違和感などのデメリットも存在します。

4番抜歯がもたらす顔の変化について、そのメリットとデメリットを具体的に解説していきます。治療を検討する際はこれらを総合的に考慮し、自身の希望とリスクを比較・検討することが大切です。

メリット

4番抜歯をともなう矯正治療には、主に審美的な改善と機能的な改善という2つの大きなメリットがあります。特に、歯並びや口元の突出感が気になる方にとっては顔全体の印象を大きく改善できる可能性があり、その点を魅力に感じる方もいるのではないでしょうか。

また現在の歯列に新たなスペースを確保できることで、複雑な歯の移動といった難しい症例に対応しやすくなる点もメリットとされています。

審美的な改善

4番抜歯によって口元や輪郭がすっきりし、出っ歯や口ゴボなどのコンプレックスが緩和される可能性があります。特に出っ歯や口ゴボで悩んでいる方は、口元が引っ込むことでEラインが整い横顔がすっきりとした印象になる可能性があります。

また、歯列のアーチが小さくなることで頬のラインが引き締まり、顔全体がシャープに見えることもあります。頬のふくらみがコンプレックスだった方は、審美的な面での満足度が高まる可能性があります。自信を持って笑顔を見せられるようになれば、心理面でもよい影響が期待できるでしょう。

機能的な改善

4番抜歯で歯並びが整うことによって噛み合わせが改善する、あるいは食べ物を効率的に咀嚼できるようになる可能性があります。消化器官への負担が軽減されれば、全身の健康にもよい影響が出るかもしれません。

また正しい歯並びは、活舌(かつぜつ=発音)の改善につながることもあります。歯の隙間や位置に起因する"空気の漏れ"がなくなることで、発音がより明瞭になる可能性があるためです。4番抜歯がもたらす機能的な改善は、日々の食事やコミュニケーションの質を高めるなど生活の快適さにもつながるメリットといえるでしょう。

デメリット

4番抜歯を検討する場合、メリットだけでなく顔の変化による違和感や治療期間の長期化、痛み・腫れなどのデメリットも考慮する必要があります。後悔を防ぎ、より納得のいく矯正治療へとつなげるためにも、デメリットを理解しておくことが大切です。

変化による違和感

4番抜歯をしたあとの顔の変化は予測が難しく、期待と異なる結果になることがあります。事前にシミュレーションをしたとしてもそれは予測に過ぎず、結果とイメージとのギャップに違和感を覚えるかもしれません。

特に、頬がこけて見えるようになった・人中が間延びした・唇が薄くなったなど予期せぬ結果をもたらすことも考えられます。もちろんそうした変化は必ずしもネガティブとは限りませんが、イメージと異なる場合は精神的な負担が大きくなる可能性がある点を考慮しておくことが大切です。

治療期間の長期化

4番抜歯をともなう矯正治療は、非抜歯の場合に比べて全体的な治療期間が長くなる可能性があります。抜歯したスペースを埋めるには、歯を大きく移動させなければならないことがあるためです。抜歯した隙間が埋まるまでの期間は1年から1年半が目安とされており、その間は定期的な通院も必要となるでしょう。

治療期間の長期化は費用・時間・精神的な負担の増加にもつながるため、事前にしっかりと治療計画を理解することと、期間についても把握しておくことが大切です。

抜歯による痛みや腫れ

4番抜歯は外科的処置なので局所麻酔を使用します。そのため麻酔が切れたタイミングで、痛みや腫れといった症状が現れる可能性があります。一時的な症状ですが痛みは数日間続くことがあり、腫れも抜歯後数日でピークを迎えて徐々に引いていくと考えられます。

個人差はありますが、抜歯後の不快な症状は避けられない可能性が高いでしょう。歯科医院で痛み止めや抗生物質を処方してもらえることもありますが、症状が長引いたり悪化したりする場合は我慢せず歯科医院に相談してください。

4番抜歯で後悔しないための対策と注意点

4番抜歯で後悔しないための対策と注意点の画像 4番抜歯で後悔しないための対策と注意点の画像

4番抜歯は歯並びを整えるための有効な手段の一つですが、「顔の印象が変わる可能性があること」、そして「抜歯した歯は元に戻せないこと」を理解しておくことが大切です。

治療後に「思っていた顔と違う」と後悔しないためには、歯科医師との綿密なコミュニケーションや治療計画の確認、セカンドオピニオンの活用、そして抜歯後・矯正治療中の適切なケアが重要です。4番抜歯を決断する前に知っておくべき対策と注意点を詳しく解説します。

歯科医師との綿密なコミュニケーション

治療前に、歯科医師と綿密にコミュニケーションを重ねておくことが何よりも重要です。まず歯並びで悩んでいること、希望する仕上がり、そして不安な点など些細なことでも遠慮なく歯科医師に伝え、十分に話し合いましょう。

次に、歯科医師から提示される治療計画を詳細に確認し理解することが大切です。曖昧な部分を放置して治療に進むことはおすすめしません。抜歯の必要性、抜歯後の歯の動き、治療期間などについて治療計画や3Dシミュレーションで具体的に確認し、疑問点はその場で解消しましょう。

最後に、抜歯にともなう痛みや腫れ、顔の変化といったリスク・副作用について事前に詳細な説明を受け、しっかりと理解しておくことも後悔しないための大切な要素となります。

セカンドオピニオンの検討

4番抜歯は、顔の印象に大きな影響を与える可能性がある選択肢です。提示された治療計画に少しでも不安を感じる場合や、ほかの選択肢も検討したいという場合は、遠慮せずにセカンドオピニオンを受けることをおすすめします。

特に複数の歯科医師にセカンドオピニオンを求めることで、より客観的な視点から自分の状況を把握できるようになり、治療の選択肢やリスクについても多角的に検討できます。最終的に4番抜歯を選ぶ・選ばないに限らず、異なる視点やアプローチを知ることで「自分にとってもっとも納得のいく治療」を選択するための判断材料が増えていきます。

抜歯後、矯正治療後のケア

4番抜歯をしたあとの痛みや腫れをできる限り抑えるため、歯科医師の指示に従って適切なケアを行うことが大切です。処方された薬を必ず最後まで服用する、食事・口腔衛生に関する指導を守るといったことを心がけましょう。

また矯正治療後の保定期間は、整った歯並びを安定させるために欠かせない期間です。保定装置の装着や定期的なメンテナンスを怠ると歯並びが後戻りし、せっかく整った顔の印象が崩れてしまうおそれがあります。

4番抜歯をしたあとは、将来も見据えた長期的な視点で継続的なケアを心がけ、理想の仕上がりを維持しましょう。

顔の変化に関するよくある質問

顔の変化に関するよくある質問の画像 顔の変化に関するよくある質問の画像

4番抜歯による顔の変化に関して、よくある質問とその回答をまとめました。疑問や不安を解消し、安心して治療に臨めるようぜひ参考にしてください。

4番抜歯をすると、必ず顔が変わりますか?

抜歯をして歯を動かすため多少なりとも変化しますが、その程度は個人差が大きいためほとんど変化を感じない方もいれば、口元や輪郭に顕著な変化が出る人もいます。抜歯する本数やもともとの歯並びの状態、骨格などによって異なるでしょう。

4番抜歯による顔の変化は、いつ頃から現れますか?

変化が現れる時期には個人差がありますが、一般的には抜歯から数か月~半年ほどかけて徐々に現れることが多いようです。歯の移動や、それにともなう骨格の移動は徐々に進行するからというのがその理由です。矯正治療が進むにつれて歯が大きく移動すると、結果として口元や輪郭の変化がより顕著になる場合もあります。

4番抜歯によって、具体的にどのような顔の変化が起こりますか?

主に、口元の変化と輪郭の変化が起こる可能性があります。口元の変化としては、出っ歯や口ゴボといった突出感が解消され、口元が引っ込むことで唇の厚み・形が変わることがあります。輪郭の変化としては、頬のラインがすっきりしたりフェイスラインがシャープになったりする可能性があります。また横顔の美しさを示すEライン(鼻先と顎先を結んだ線)にもよい影響を与える場合があります。

4番抜歯による顔の変化は、元に戻りますか?

抜歯によって生じた顔の変化は基本的に元には戻りません。歯が大きく移動し、それに合わせて骨格や筋肉のバランスも変化するためです。保定期間中に保定装置を正しく使用しないと、せっかく整った歯並びが後戻りして顔の印象が変わってしまうこともあります。矯正治療後の顔の印象を維持するには、保定期間を含めたケアが非常に大切です。

4番抜歯による顔の変化は、どのような人に起こりやすいですか?

出っ歯や口ゴボといった症状が強く、抜歯によって歯を大きく移動させる必要がある方は、顔の変化を感じやすい傾向があります。歯が大きく動くことで口元の突出感が大幅に改善されるためです。もともと頬がふっくらしている方は、口元が引っ込むことで頬のこけやフェイスラインの変化を強く感じる場合があります。

4番抜歯による顔の変化は、デメリットばかりですか?

いいえ、メリットも期待できます。
具体的には、審美的なメリットとしてEラインの改善、輪郭の改善・引き締めなどが挙げられます。また機能的なメリットとして、噛み合わせの改善や咀嚼機能の向上などが見込めます。見た目と機能の両面でポジティブな効果が期待でき、日常生活の質を高めたり精神的によい影響をもたらしたりする可能性があります。

4番抜歯による顔の変化で後悔しないためには、どうすればいいですか?

後悔しないためには、まず歯科医師との十分なコミュニケーションを重ねましょう。3Dシミュレーションなどを活用した治療計画を確認させてもらうことなどが重要です。少しでも不安がある場合はセカンドオピニオンを検討し、複数の歯科医師の意見を聞くのもよいでしょう。非抜歯矯正の可能性についても歯科医師と話し合い、変化への理解を深めるとともに、場合によっては自分の中での期待値を調整(軌道修正)することも大切です。

4番抜歯後の顔の変化について、不安がある場合はどうすればいいですか?

不安な点や疑問点があれば遠慮せずに歯科医師に相談しましょう。納得いくまで質問し、詳しい説明を求めることが重要です。また別の歯科医師の意見を聞くのも有用です。セカンドオピニオンを検討してみてください。一度抜歯した天然歯は戻せないため、少しでも不安が残る場合、4番抜歯を無理に行うことはおすすめしません。

まとめ

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4番抜歯は矯正治療の選択肢の一つですが、副次的に口元や輪郭の印象を変える可能性もあります。「4番抜歯によって起こりうる口元や輪郭の変化」「それにともなう審美的・機能的なメリット」「予期せぬ変化や治療期間の長期化といったデメリット」など、この記事でお伝えしてきたことを今一度ご確認ください。

また「顔の印象が予想外に変わる可能性がある」ことや、「一度抜歯した天然歯は元に戻せない」ことも踏まえた上で、4番抜歯をするかどうか慎重に判断することをおすすめします。

後悔しないためにも自分の希望や不安はしっかりと伝え、納得した上で選択することが何よりも大切です。歯科医師と綿密にコミュニケーションを重ねるとともに、決断に迷うときはセカンドオピニオンを求めることも検討しましょう。

坂本 輝雄 歯科医師

坂本 輝雄 歯科医師

監修医師からのメッセージ

4番を抜歯する理由は2つあります。
1つ目は歯が大きく、歯列がデコボコの場合です。抜歯をすることによって歯を並べるスペースを作ります。健康な歯を抜くことはデメリットですが、残りの24本がきれいに並ぶことによって、咀嚼機能が向上し、よく噛めるようになります。

2つ目は前歯が前方に傾き、口が自然に閉じにくい場合で、Eラインより口唇が前に突出します。抜歯によってできたスペースに歯を1ミリ後方に動かすと口唇も1ミリさがります。抜歯して前歯を後方に動かすことにより、見ためが良くなるばかりでなく、口が自然にとじることにより、唾液が口中に流れることによって、虫歯や歯周病(歯肉炎)を防ぐことができます。

以下のリンク先では、全国にあるおすすめの矯正歯科をエリアや駅単位で探すことができます。信頼できる歯科医院選びにぜひ役立ててください。

矯正歯科ネットプラス編集部

この記事の執筆者

矯正歯科ネットプラス編集部

矯正歯科ネットプラス編集部は、メディカルネットが運営する矯正歯科に特化した情報サイト「矯正歯科ネットプラス」で日々配信を行っています。

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矯正歯科ネットプラス編集部には、歯科医師・歯科衛生士が在籍しております。

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