【2026年度】歯列矯正の医療費控除はいくら戻る?控除額の計算方法と必要な条件を解説!
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大人の歯列矯正治療も医療費控除の対象になることをご存じですか?成人矯正は医療費控除の対象となるケースがあり、確定申告を行うことで治療費の一部が戻ってくる可能性があります。
この記事では、医療費控除の対象となるケースや診断書は必要かなど、矯正治療の医療費控除について詳しく解説します。なお、2025年に支払った医療費の確定申告期間は、2026年2月16日(月)から3月16日(月)までとなります。期限までに申請できなかった方は、さかのぼって申請ができる場合があります。
矯正治療費が少しでも安くなったら嬉しい方、矯正治療を始めたいけど高額な費用でお悩みの方は、医療費控除を活用してみてはいかがでしょうか。
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※本記事で言及している「所得」とは、税法上の「総所得金額等」を指します。
この記事の監修税理士
中野 裕哲 税理士
- 監修
税理士の他、起業コンサルタント®、経営コンサルタント、特定社会保険労務士、行政書士、ファイナンシャルプランナー(CFP®)、一級ファイナンシャル・プランニング技能士の資格を持ち、大正大学の招聘教授を務めています。
税理士法人V-Spiritsグループ/税理士法人・社会保険労務士法人・行政書士法人V-Spirits、V-Spirits総合研究所株式会社代表。起業準備から起業後の経営まで、窓口ひとつで支援するV-Spiritsグループを主催しています。
専門分野は、ビジネスプランのブラッシュアップ、事業計画書作成、創業融資・補助金・助成金の支援、税務会計、人事労務、会社設立、許認可等。その他にも、ブランディング、マーケティング、集客・販促などのアドバイス、人脈の紹介までを行っています。著者・監修書として『オールカラー 個人事業の始め方』(西東社)、『相談件数No.1のプロが教える 失敗しない起業 55の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)などがあります。
「医療費控除」ってどんな制度?

医療費控除とは
医療費控除とは「1年間に10万円以上の医療費を支払った(※)」場合に、確定申告を行うことで医療費の一部を所得から控除することができる制度です。
生計を同一にしている配偶者や親族のために支払った医療費も含まれており、生計を同一にしていれば一緒に暮らしている必要はありません。普段から別々に暮らしている親や子供の生活費を負担しており、その親や子の医療費を支払った場合もその医療費は医療費控除の対象となります。
1月1日から12月31日までに発生した医療費を、翌年の確定申告にて申告する必要があります。過去に申告ができていなかった医療費でも、5年以内ならさかのぼって申告が可能です。また、医療費控除は医療費を支払ったご自身の分以外に生計を一にする家族の医療費であっても、自分が支払っていれば控除の対象となります。
なお、薬局などで購入したセルフメディケーション税制対象商品の合計金額による医療費控除と、矯正治療など治療費による医療費控除は併用できません。
(※)1年の総所得金額が200万円未満の場合はこの限りではありません。
対象となる期間と「家族合算」の活用
医療費控除の対象となるのは、その年の1月1日から12月31日までに実際に支払った医療費です。大きなポイントとして、生計を同一にする家族全員分の医療費を合算できる点が挙げられます。
たとえば配偶者や子ども、同居の親の医療費も対象になります。申告は家族の中で最も所得が高い人が代表して行うことができ、所得税率が高くなる分、世帯全体として受けられる還付額が大きくなる可能性があります。
医療費控除でいくら戻ってくる?
医療費控除で免除される所得税は、支払った医療費の金額や所得によって異なりますが、上限は200万円までです。
では、実際いくらくらい戻ってくるのか、金額によって面倒な確定申告をするかどうかを決めたい方もいるでしょう。戻ってくる金額は、以下の計算方法で算出することができます。
年間医療費の合計額-保険金などの補てん金額-10万円(※)=医療費控除額
合計額から10万円(※)を差し引いた金額がおよその金額ですが、生命保険などから補填金やお見舞金などが出ている場合はその分戻ってくる税金が少なくなります。
補填金やお見舞金を受け取っている場合は、確定申告にて医療費控除を行ってもほとんど免除されない可能性もあるので、まずは払った医療費と受け取った保険金をしっかり確認しておきましょう。
また、公的医療保険を適用した矯正治療などでは高額療養費制度も活用することができますが、高額療養費制度によって返金された費用も医療費控除では差し引く必要があります。
(※)1年間の総所得が200万円未満の場合は、総所得額に5%をかけた金額を差し引きします。
中野 裕哲 税理士
税理士が答える!
「医療費控除の還付金はいつ戻る?振込時期の目安について」
e-Taxの場合は通常2週間〜1か月程度、書面申告の場合は1〜2か月程度で還付されることが一般的です。ただし申告時期や内容確認の状況によって前後する場合があります。
医療費控除で対象となる費用
医療費には、歯科医院で支払った費用以外にかかった経費も一部含むことができます。治療費だけでは10万円に達していなくても、すべて含めたら10万円を超えるかもしれないのでこちらもよく確認しておきましょう。
- 診療でかかった費用
検査料、診断料、治療費、矯正装置費用、調整料、処置料など、歯科医院で払った治療費用全般。ただし、歯科医院で購入した歯磨き粉やうがい薬など矯正治療を行っていなくても購入する商品に関しては医療費控除の対象外となります。 - 医薬品代
治療のために必要な処方薬や市販薬代。矯正治療器具の痛みに対処するために購入した痛み止めなども対象です。また、歯科医院で処方された薬ももちろん医療費控除の対象です。 - 交通費
通院の際に利用した公共交通機関(電車、バス、新幹線や飛行機)の費用。
自家用車による通院でかかった駐車場代やガソリン代、タクシーなど公共の交通機関以外で通院した場合にかかる費用は対象外です。 ただし、事情により公共交通機関での通院ができない方の場合、深夜帯などで公共交通機関が利用できない場合などは医療費控除の対象となるケースもあります。個々によって異なるため、税務署へ問い合わせてみましょう。
デンタルローン、クレジット分割払いを利用した場合は?
デンタルローンやクレジットカードの分割払いを利用した場合も、医療費控除は適用されます。
ただし、デンタルローンを契約し、デンタルローン会社が歯科医院へ費用を支払った年に全額の申請が必要です。デンタルローン会社への返済のタイミングではないので注意しておきましょう。また、デンタルローン会社へ支払う金利や手数料は医療費控除の対象外となります。
クレジットカードも同様に、引落し日に関わらず、「歯科医院でクレジットカードを使用して決済をした日」の年度で医療費控除の申請をする必要があります。こちらも、分割払いの手数料は医療費控除の対象外なので注意してください。
大人の歯列矯正で医療費控除が対象となるケースは?

大人の矯正治療は、医療費控除の対象となるケースとならないケースがあります。対象とならないケースでは、確定申告を行っても医療費が控除されないため、自身の矯正治療が医療費控除の対象かどうかを確認しておきましょう。
「治療目的」の矯正治療が医療費控除の対象
大人の歯列矯正で医療費控除の対象となるのは、矯正歯科の専門医に「治療」として矯正治療が必要と判断された場合です。
認められやすいケース
- 噛み合わせに問題があり、咀嚼(そしゃく)機能に支障が出ている場合
- 歯並びが原因で、発音や滑舌に影響が出ている場合
- 顎変形症などの疾患に伴い、医師の診断に基づいて行われる矯正治療
認められにくいケース
- 歯並び自体に機能的な問題はなく、見た目をより整えたいという審美目的の場合
- 健康上の支障がない状態で、ホワイトニングなどの審美治療を併用する場合
例えば、「歯並びが原因で上手く発音ができない」「噛み合わせが悪く、食べ物を噛み切ることができない」など、生命や日常生活に大きな支障をきたしている・きたす可能性がある状態には、改善のための治療として矯正治療を行います。
逆に、見た目を美しくすることを目的とした矯正治療は医療費控除の対象となりません。口元をきれいにしたい、芸能人のようなきれいな歯並びにしたいなどの場合は「治療」として必要な矯正治療ではないため、医療費控除を受けることができないとされています。
しかし、自分自身では機能的な問題はないと思っている場合でも、歯科医師の目から見て「治療」の矯正治療が必要だと診断されれば、医療費控除の対象となります。自分の歯並びや噛み合わせが対象となるか気になる方は、まずは矯正歯科で相談してみてください。
医療費控除の条件は矯正方法も関係ある?
医療費控除の条件として、治療方法の制限は特にありません。医師に矯正治療が必要と判断されている前提があれば、大人の矯正治療で近年需要が高まっている目立ちにくいマウスピース矯正や歯の裏側に矯正装置をとりつける舌側矯正(裏側矯正)でも対象となります。
ただし、一般的な矯正治療にかかる金額よりもあまりに高額だと医療費控除を受けられないこともあります。新しい治療法や独自の治療法では平均よりも高額となり医療費控除が適用されない可能性もあるので、事前によく確認しておきましょう。
未成年の矯正との判断基準の違い
未成年の子どもの矯正治療は、噛み合わせや顎の成長など、健全な発育を妨げないための治療として位置づけられることが多く、社会通念上、医療費控除の対象として認められやすい傾向があります。
一方で、大人の矯正治療の場合は、見た目の改善を目的とした治療と区別する必要があるため、歯科医師が作成する診断書や所見により、医学的に治療が必要であることを示す重要性が高まります。
ご自身やお子さまの治療が該当するか不安な場合は、対応可能な歯科医院で相談し、専門的な判断を受けると安心です。
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診断書がなくても医療費控除は受けられるの?申請に必要なものは?

医療費控除は確定申告を行う必要があり、確定申告のためには必要な書類などがいくつかあります。
診断書なしで申請はできる!
医療費控除は、診断書がなくても申請できます。医療費控除の申請では医療機関から発行される診断書の提出は必須条件とされていません。
ただし、矯正治療はあくまでも「治療」のために矯正治療を受けた場合に医療費控除の対象となり、税務署が確認のために診断書の提出を求めることがあります。提出を求められた際に提出できないと、医療費控除が受けられないこともあります。
診断書を依頼するタイミングと伝え方
診断書は、治療を開始する際の契約時や、初回のまとまった支払いを行うタイミングで依頼するとスムーズです。あらかじめ医療費控除の利用を伝えておくことで、医院側も必要な対応をしやすくなります。
歯科医院へは、「確定申告で医療費控除を受ける予定があるため、噛み合わせや機能面の改善を目的とした治療であることが分かる診断書をお願いしたい」と伝えるとよいでしょう。
事前に相談しておくことで、書類の内容や発行時期についても確認しやすくなります。
申請に必要なものは?
- 確定申告書
- 申告する年の源泉徴収票
- 申告する矯正歯科治療の領収書
- そのほか医療費控除の対象となる領収書
- デンタルローンの契約書または明細書(医療に該当するかどうか判断するため)
矯正治療費のほかに、別途受けた治療がある場合は合算して申請することができるので、医療費控除を申請する年のすべての治療の領収書を用意しておくとよいでしょう。
このほか、マイナンバーカードや確定申告に必要となる書類を用意しておきましょう。
領収書は、申請後も5年間の保管が義務付けられているため必ず保管してください。5年の間に税務署から領収書の提出を求められたら、提出する必要があります。
確定申告の実務手順:e-Taxと書類保存

大人の矯正費用を医療費控除として申告する流れは、大きく分けて「準備」「入力」「保管」の3つのステップに分かれます。
現在は、税務署へ出向かなくても、スマートフォンやPCから手続きが完結するe-Tax(電子申告)の利用が推奨されています。必要書類を事前にそろえておけば、初めての方でも比較的スムーズに申告を進めることができます。
【ステップ1】申告に必要な書類・データの準備
申告を始める前に、以下のものを手元に揃えましょう。特に交通費のメモなどは、後からの集計が大変なため、通院の都度まとめておくのが理想的です。
- 医療費の領収書・レシート:その年の1月1日〜12月31日までに支払った分
- 通院にかかった交通費の記録:公共交通機関(電車・バス)の利用日・区間・金額のメモ
- 歯科医師の診断書:税務署から求められた際に提示できるよう保管しておく
- 源泉徴収票:勤務先から発行された最新のもの
- マイナンバーカード:e-Taxでの本人確認に使用
- 振込先口座の情報:還付金を受け取るための本人名義の口座
【ステップ2】e-Tax(確定申告書等作成コーナー)での入力手順
国税庁の「確定申告書等作成コーナー」へアクセスし、画面の指示に従って入力します。
- 申告内容の選択: 「所得税」を選択し、給与所得などを入力します。
- 医療費控除の選択: 控除の項目から「医療費控除」を選び、「医療費控除を適用する」にチェックを入れます。
- 明細の入力: 領収書を「医療機関ごと」にまとめて合計金額を入力する方法が最も効率的です。
・病院名: 〇〇矯正歯科
・医療費の区分: 診療・治療
・支払った医療費: [領収書の合計額] - 交通費の入力: 病院名に「(交通費)」と書き添えるか、別途一行追加して集計額を入力します。
- 送信: すべての所得と控除を入力後、内容を確認して送信します。
【ステップ3】「領収書」の適切な保管と5年間の保存義務
e-Taxで申告した場合、医療費の領収書を税務署へ提出したり、スキャンして送ったりする必要はありません。 ただし、税務署から内容確認のために提示を求められる場合があるため、以下のルールで保管しましょう。
- 保存期間: 確定申告期限から5年間。
- 保管方法: 封筒やファイルに年ごとにまとめて、「202X年 医療費領収書」と明記して保管するのがおすすめです。
- 診断書の扱い: 診断書も領収書と一緒に保管しておきます。万が一、税務署から「なぜ大人の矯正が控除対象なのか」と問い合わせがあった際の強力なエビデンスになります。
おまけ:通院交通費を控除対象として認めてもらうためのポイント
領収書が出ない電車やバスの運賃については、「通院日、利用区間、金額」を記載した一覧表を作成しておけば、領収書の代わりとして認められます。
注意点として、家族の送り迎えのために使用した自家用車のガソリン代や駐車場代は、原則として医療費控除の対象外です。タクシー代は、怪我や急病などで公共交通機関の利用が著しく困難な場合を除き、認められないケースが多いため注意が必要です。
まとめ

大人の歯列矯正治療は、見た目を美しくする目的でなく、機能改善を主とした「治療」を目的とする場合に医療費控除の対象となります。
歯列矯正は治療期間が長く、高額な費用がかかります。そのため、確定申告の際に医療費控除を申請することをおすすめします。
中野 裕哲 税理士
監修税理士からのメッセージ
歯列矯正など高額になりがちな自由診療も、条件を満たせば医療費控除で税負担を軽減できる可能性があります。対象になるかどうかの判断基準や、いくら戻るのかという目安を事前に把握しておくことで、安心して確定申告することができます。まずは1年分の医療費を整理し、家族合算も含めて検討してみましょう。正しく申告すれば、思った以上に負担が軽くなることもあります。
中野 裕哲 税理士
税理士が答える!
「医療費控除はいつまでが対象?申請期限を過ぎたらどうなる?」
医療費控除は、確定申告の申告期限から5年以内であればさかのぼって申請することができます。たとえば2021年分の医療費控除は、2026年12月31日まで申請可能です。申告期限を過ぎていても還付を受けられる可能性があるため、過去の領収書を確認してみることをおすすめします。